包括的性教育と「心の防災」
〜自分と相手をまもる、生きるための学び〜
今、子どもたちはSNSを通じて、誰とでもつながれる世界を生きています。
その便利さの裏には、性暴力や性加害といった“見えにくい危険”が潜んでいます。
そして実はそれは、子どもたちだけの問題ではありません。
多くの大人もまた、子どもの頃には「からだの仕組み」や「妊娠・出産」くらいしか教わらず、 「心の痛み」や「性にまつわる人権」「境界線の感覚」について学ぶ機会がなかったかもしれません。
その結果、いまもなお、職場で、家庭で、人間関係のなかで
「どう伝えたらいいのか分からない」
「違和感があっても声をあげられない」
――そんな“しんどさ”を抱えている人が少なくないのです.
だからこそ、子どもにも大人にも、いま必要なのが「包括的性教育」です。
包括的性教育は、生殖や性交の話だけではありません。
相手を尊重し、自分を大切にし、「イヤだ」「困っている」と伝える力を育てるものです。
それは、心が傷つく“災害”に出会ったときの「避難方法」を知ることでもあり、
安心できる「心の避難所」を、社会の中にひとつずつ増やしていくことでもあります。
この考え方は、学校だけでなく、
企業や地域、あらゆる場で生きる人にとっての「人権教育」であり「共生の基盤」です。
職場のハラスメント防止や、ウェルビーイング、心理的安全性の土台にもつながっています。
「性教育って、子ども向けでしょう?」
――そんなイメージが、少しずつ変わってきています。
それは「すべての人が、自分らしく生きていくための教育」へ。
あなた自身の生き方や、これから出会う相手との関わりを見つめ直す機会になるかもしれません。
わたしは、性のことだけでなく、「心の安全」をつくる学びを、すべての人に届けていきたいと願っています。
